新たな検査手法が全世界的なマラリア撲滅への重要なツールとなる期待
従来検査の最大8万倍もの高感度を備える分子検査、現地でも使用可能
シンシナティ発, April 24, 2017 (GLOBE NEWSWIRE) — 全地球におけるマラリア根絶の成功を祝し、それに向けた取り組みを画策する「世界マラリア・デー (World Malaria Day) 」に、世界中のコミュニティが集結する中、驚くべきことにマラリア検査の分野から新たな希望が報告された。
米国オハイオ州シンシナティのメリディアン・バイオサイエンス (Meridian Bioscience, Inc.) (NASDAQ:VIVO) は、イルミジーン・マラリア (illumigene® Malaria) を開発した。これは、マラリア原虫検出能力において従来検査の最大8万倍もの高感度を備える、分子ベースで、野外で使用可能なマラリア検査で、米国疾病管理予防センター (Centers for Disease Control and Prevention、CDC) およびセネガル共和国ダカール市のシェイク・アンタ・ジョップ大学 (Cheikh Anta Diop University) の技術協力を得てメリディアンが開発したものである。
シェイク・アンタ・ジョップ大学、寄生虫・菌類学部のダオウダ・ニディアイ教授 (Professor Daouda NDIAYE) は「イルミジーン・マラリアは、現在の慣行を変化させる可能性を持っています。マラリアと戦うためには、より迅速で正確な診断が不可欠です。早期に診断できれば正しい治療を処方でき、マラリア患者の臨床転帰を改善し、適切な人だけに対してマラリアの治療を行えるようになります。極微小の原虫血症のキャリアが住民のなかに存在するため、マラリアがまだ撲滅されていない地域で原虫保有を追跡するためには、地域社会の現地で使用可能な高感度で信頼性の高いスクリーニング・ツールが必要になります。イルミジーン・マラリアはそのような能力を示しています」と述べている。
イルミジーン・マラリアは、2016年にパリで開催された権威あるJIB/ACNBH (Journées Internationales de Biologie /Association des Colloques Nationaux des Biologistes) 会議の救急治療、医療現場検査における革新賞で1位を受賞しており、欧州における販売には基準適合マーク (CEマーク) が表示されている。
予防策・管理策の改善によってマラリアによる死亡は2000年以降、60%削減されたが、マラリアは現在でも世界中で子供の死因上位3位に入り、毎日1分あたりに1人の死亡につながっている (1)。世界保健機関の最新データによると、全世界人口のほぼ半数がマラリアのリスクを抱えている (2)。2015年にはおよそ2億1,200万件のマラリア感染があり、マラリア感染による死者は429,000人であった (3)。同年、マラリア感染件数の90%およびマラリア感染による死者の92%がサハラ砂漠以南のアフリカ地域であった (4)。マラリア感染による死者の3分の2以上 (70%) が、5歳未満の子供である (5)。
マラリアは予防および治療が可能である一方 (6)、的確な診断が極めて重要である。マラリア原虫検出は、「ロード (loads) 」と呼ばれる非常に低いレベルで行う分子検査がより効果的であることが証明されている。低いロードの患者の識別は、確実に治療を受けることや他者への感染を防ぐことが可能になるという2重の利点がある。
メリディアン・バイオサイエンスの研究開発担当専務副社長 (Executive Vice President Research & Development)、スラヴァ・エラギン (Slava Elagin) は次のように述べている。「マラリアの症状がなくてもキャリアとなっていることがあり、こうした無症候性の患者を検出することは困難です。検査によってこうした無症候性の患者を識別できない場合には、マラリア撲滅は不可能になります。こうした個人によって他者に感染することがあるからです。」
実際、マラリアは、もはやサハラ砂漠以南のアフリカと南アジアの地域に限定されていないため、このシナリオは現実となっている。マラリアが蔓延する国々からの移住者数が増加したために、欧州および中近東諸国における感染率が増加した。最新の研究では、輸入マラリアの関連件数は過去数年間に14%から86%へと増加したとされる。各種報告の集計によると、主要欧州都市で記録されたマラリア感染者のほぼ43%が、欧州圏外の国籍保持者であった。出身地における友人や家族を訪問する欧州諸国定住の移民間でのマラリア感染率は、かなり高い。数件の報告によると、こうしたケースでの感染件数が70%に上るとされており、こうした増加は、マラリアが風土病であるなしにかかわらず、すべての国で信頼性の高い診断ツールが必要とされる現状を裏付けている。
分子検査は新しい概念ではないものの、従来は、完全装備の研究室および高度な技術を持つ専門家を要する複雑なプロセスであった。メリディアン・バイオサイエンスが開発した画期的なイルミジーン・マラリアは、マラリア感染が最も蔓延し、診断と治療のための極微小の検出が最も困難な現地において導入可能なことである。イルミジーン・マラリアは容易に使用でき、専門技能や資本投資を必要とせず、1時間未満で結果が得られる。検査試料を室温で保管できる。
メリディアン・バイオサイエンスの最高業務責任者兼取締役会議長のジョン・A・クレウトラー (John A. Kraeutler) 氏は、「これは、マラリア感染患者のケアおよび感染予防に向ける大きな前進を意味します」と述べた。
野外で容易に使用できるイルミジーン・マラリアが使用可能になることで、既存の検査プロトコルに取って代わるというより、むしろそれを強化することになる。迅速診断検査 (RDT) および顕微鏡検査に加えて、精密な検出プロトコルの創出を実現し、最も必要な箇所に対して治療を行うことができるようになる。
「マラリアは悲惨な感染病です。当社は、世界中からの才能ある献身的な人々と共にマラリア撲滅を目指して戦うことができて光栄に思います」と、クレウトラー氏は述べた。
イルミジーン・マラリアは、メリディアン・バイオサイエンス・ヨーロッパによって欧州、中近東、アフリカ地域に販売され、その他の海外市場は同社の海外販売ネットワークによって販売される。世界中1,500近くの機関が利用する同社のイルミジーン・プラットフォームで利用可能になった10種目のアッセイ製品である。
1 – メリディアンのニュースリリース「New Malaria Test, illumigene Malaria, Sets a New Gold Standard for Diagnosis」、1.26.16
2 – 世界保健機構: 「10 facts on malaria」 (https://www.who.int/features/factfiles/malaria/en/) 2016年12月更新
3 – ibid
4 – ibid
5 – ibid
6 – 世界保健機構、「Global Technical Strategy for Malaria: 2016-2030」
メリディアン・バイオサイエンスのイルミジーン・マラリアとLAMPテクノロジーについて
- イルミジーン・マラリア (illumigene® Malaria) は、メリディアン・バイオサイエンスが開発したマラリア診断テストである。ループ媒介等温増幅 (Loop-Mediated Isothermal Amplification、LAMP) テクノロジーを駆使してDNAを増幅し、マラリア原虫の存在を検出する分子検査である。
- LAMP (Loop Mediated Isothermal Amplification) は、DNAを標的として前処理済み培地含有型の試薬を使用する分子検出技術である。LAMPテクノロジーは、ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) テクノロジーとは異なり、温度サイクルテストを要さず、単一温度で培養・検出・報告を行うため、より迅速に結果を得ることができる。イルミジーン試験キットは、冷蔵保管が必要な従来の分子手法と異なり、室温で保管可能である。
- イルミジーン・テクノロジーは単純かつ精度が高く、使用も容易なため、専門技能・知識がなくてもテストを使用できる。結果は1時間未満で得られる。
- LAMPを使用しているイルミジーン・テストは、既に、クロストリジウム・ディフィシル、百日咳、単純ヘルペス・ウィルスを含めた感染症の診断に使用されており、高い精度が実証されている。
- イルミジーン・テストは、他の疾患で5年以上にわたり承認取得・使用されている。
- イルミジーン・マラリアの特徴は以下のマイクロサイトに掲載される: www.molecularendsmalaria.com
メリディアン・バイオサイエンスについて
メリディアン・バイオサイエンス (Meridian Bioscience, Inc.) は、多様な革新的診断テスト・キット、希少試薬、特殊バイオ医薬品および製剤の開発、製造、マーケティング、販売に携わる完全統合型ライフサイエンス企業である。多様な方法を駆使する当社の診断テストは、感染症や鉛中毒などのよくある疾患の早期診断と治療において、高精度、単純性、スピードを実現している。メリディアンの診断用製品は体外使用製品であり、専門的装置はほとんど必要としないか、まったく不要である。同社の製品は患者の心身の健康を強化し、同時に医療の費用対効果を高めるよう設計されている。メリディアンは消化器系・呼吸器系上部の感染症および血中鉛レベル試験の診断分野で強力な市場地位を持つ。さらに、メリディアンは生命科学およびアグリバイオ産業界において研究に携わるバイオ製薬会社や診断製品の製造企業が成分に使用する希少試薬、特殊生物物質、関連製剤のサプライヤーでもある。同社は世界中70ヶ国以上の病院、基準検査機関、リサーチセンター、診断用製品メーカー、アグリバイオ企業にその製品、テクノロジーを販売している。同社の株式はナスダックのグローバル・セレクト・マーケットでシンボル「VIVO」で取引されている。メリディアンのウェブサイトは以下のとおりである。www.meridianbioscience.com.